副詞終了型発話の出現とそれに対する聞き手の応答
2022-01-19 23:59:07
目 次
一 はじめに 1
二 先行研究 1
三 研究方法 5
四 「副詞終了型発話」の出現、特徴と発話機能 7
五 「副詞終了型発話」を続ける聞き手としての応答 12
六 終わりに 20
致 谢 24
副詞終了型発話の出現とそれに対する聞き手の応答
徐栎 20141322018
要旨:本論文は日本語母語話者の友人同士の雑談をデータとし、日本語母語話者の「副詞終了型発話」の使用実態を考察する。具体的には「副詞終了型発話」の生起比率、特徴と機能が何かを分析してみる。また、聞き手の立場から、いかに「副詞終了型発話」を理解し、応答すればいいのかという目的意識があって、「副詞終了型発話」とそれに対する応答の連鎖組織を明らかにしてみる。
キーワード:中途終了型発話;雑談;発話機能;副詞;連鎖組織
一 はじめに
日本語母語話者の自然会話場面を観察すると、最後まで言い切らない発話がよく出るという特徴は明らかになる。そのような「文法的には言い切っておらず不完全な発話であるが、情報伝達においては不完全なところは何もなく、言い終わっているもの」1「中途終了型発話」と呼ばれる。その発話はさまざまな表現形式がある。「あっ、もしかして…」のような「副詞を残して、述部、文を省略する発話」2もその一種類である。
本論文では、話し手と聞き手の視点から、副詞で終わっている「中途終了型発話」(以下「副詞終了型発話」3と略す)はどんな特徴を持っているか、発話機能が何か、その発話に対していかに応答するのかを明らかにしてみる。
二 先行研究
宇佐美まゆみ(1995)はスピーチレベルシフトに関する研究の中で、初めて「中途終了型発話」という言葉を使わている。「述部が省略される場合や、複文の場合、従属節のみで主節が省略されたりする発話、すなわち、最後まで言い切っていない発話を『中途終了型発話』と呼ぶ。最後まではっきり言い切らないことによって、明言を避け、発話を緩和したり、相手に発話の機会を与える機能を持つ」としている。
陳文敏(2000)は4組の日本語母語話者初対面の二人の会話をデータとし、3種類、6つの表現形式及
び6つの生起理由を見出した。杉山ますよ(2001)は7つの対談番組資料をデータとし、陳(2000)の分類法を援用し、結論を検証した。表1のように表現形式を4つに分類し、さらに9つに下位分類した。「副詞終了型発話」は杉山(2001)の研究に新たな分類として初めて見出された。杉山(2001)の論文で上げられた例を見てみよう。そのような発話は「副詞終了型発話」と言われる。
[例1]→H056:だから、都会で民謡という言葉を使っただけで、地方の人はあまり…
K056:なるほどね。
表1 「中途終了型発話」の表現形式
複文の主節が省略されている発話 | 「テ形」表現 |
「接続助詞」表現(し、ので等) | |
「条件形」表現(と、たら等) | |
述部が省略されている発話 | 「テ形」表現(しまう、おく等) |
「引用」表現(と、って) | |
「伝聞」表現(そうで、とか等) | |
「トピック呈出」表現(は、って等) | |
「例示」表現(とか) | |
「名詞省略」表現(Nの、という等) | |
一部を残し、文または述部を省略する発話 | →副詞を残して、述部、文を省略 |
一部呈示表現 | |
形式は「ダ体」発話だが、音声的には「ダ体」と認められない発話 |
高木丈也(2012)は陳(2000)の研究における三つの基準が混在した分類法にはやや無理があるという問題を指摘した。そのため、高木(2012)は6組の日本語と韓国語の初対面談話をデータとし、形態別の分類を使用した。その結果、表2のように、日本語の談話において(1)接続詞、(2)接続詞以外、(3)その他と分類しており、さらに下位分類して18種類の形態を統計した。生起比率最も高いの三つは体言、「テ」、「ケド」である。副詞は第7位である。また、伝達された発話意図を当該発話 の「機能」ととらえ、ザトラウスキー(1993)4における「発話機能」の分類を用いて、表3のように類型化することにした。その中、生起比率最も高いの四つは「情報提供」、「言い直し」、「意志表示」、「情報要求」である。
表2 高木「中途終了型発話」の形態別出現数と生起比率
形態 | 出現数と生起比率 | |
接続助詞 | ①「-テ」 ②「中止形」 ③「-シ」 ④「-ト」 ⑤「-ケド」 ⑥「-ノデ」 ⑦「-カラ」 ⑧その他の接続助詞 | 74(14.1%) 8(1.5%) 5(1.0%) 6(1.1%) 73(13.9%) 40(7.6%) 7(1.3%) 6(1.1%) |
接続助詞以外 | ⑨連体形 ⑩引用・伝聞の諸形式 ⑪「-みたいな」 ⑫「-とか」 ⑬体言語尾 ⑭体言 ⑮接続詞 ⑯副詞 ⑰間投詞 | 3(0.6%) 17(3.2%) 42(8.0%) 16(3.0%) 52(9.9%) 96(18.3%) 4(0.8%) 35(6.7%) 25(4.8%) |
その他 | ⑱非境界 | 17(3.2%) |
合計 | 526 |
表3 高木「中途終了型発話」の機能別出現数と生起比率
出現数と生起比率 | |
①注目要求 ②談話表示 ③情報提供 ④意志表示 ⑤同意要求 ⑥情報要求 ⑦⑧行為要求 ⑨言い直し要求 ⑩言い直し ⑪関係作り・礼儀 ⑫注目表示 | ― 16(3.0%) 250(47.5%) 82(15.6%) 6(1.1%) 60(11.4%) 3(0.6%) ― 88(16.7%) 9(1.7%) 12(2.3%) |
合計 | 526 |
また、山路佳恵(2009)は、なぜ情報伝達が終了していると判断できるのかという観点から、「中途終了型発話」の特徴を8つ見出した。
以上から見ると、陳(2000)と高木(2012)の研究対象は初対面の日本語母語話者の談話であり、杉山(2001)の研究対象は対談番組のインタビューアとゲストであり、山路(2009)の研究対象は職場における昼休みの会話であるため、親しい友人同士の雑談をデータとする研究もまだ少ない。「中途終了型発話」の使用については、親疎関係によって違うと考えられる。本論文では、親しい友人同士の雑談を対象とし、分析してみる。また、「中途終了型発話」の分類については、高木(2012)の観点を賛成し、形態別で分類したほうがより適当だと考えている。本論文は高木(2012)の分類を援用し、その中の一種類、即ち「副詞」という形態の「中途終了型発話」を研究対象をする。また、従来の「中途終了型発話」に関する研究は主に分類と、生起理由を中心としているが、聞き手として相手の中途終了型発話にいかに応答するかという問題はこれまで検討されていない。本論文は発話機能と連鎖組織を分析の柱とし、「副詞終了型発話」とそれに続く聞き手としての応答を考察してみる。
三 研究方法
本研究では、「中途終了型発話」の範囲が大きいため、高木(2012)の分類を援用し、生起比率が比較的高い形態において副詞という形態は推測力が一番要求されるという目的意識があるので、「副詞終了型発話」を研究対象とする。
本論文は親しい友人同士の雑談を資料とし、「副詞終了型発話」を探し出し、その副詞の使用に関して、なぜ中途終了ではあるが、聞き手がうまく聞き取れているのかという視点から「副詞終了型発話」の特徴を考察する。また、副詞終了型発話と聞き手の応答の発話機能を見出し、連鎖組織を考察する。
1 会話資料の収集
『BTSJによる日本語話し言葉コーパス2011版』に収録されている会話データの中で、7組の親しい友人同士雑談を資料とし4、考察してみた。
会話参加者は日本語母語話者14名、全員20代の女性学生、親しい友人同士である。
2 「副詞終了型発話」の認定
「中途終了型発話」の認定は研究者により違うので、本論文に「中途終了型発話」を「自主的な中途終了型発話」と「非自主的な中途終了型発話」に分類する。「自主的な中途終了型発話」は宇佐美まゆみ(2007)による1発話文5の最後に、文末が文法的に完結していないが、情報伝達が終了している発話である。それは話し手が自主的に言い切らない、あるいは言いよどむ発話である。それに対し、「非自主的な中途終了型発話」は聞き手のあいづち、質問や割り込み等による中途終了である。ただし、「ずっと飲み続けなの、酒を。」のような倒置文も「中途終了型発話」として認定される。2種類の「中途終了型発話」のいずれも研究対象として、その中に、副詞で終わっている「中途終了型発話」を「副詞終了型発話」と認定される。
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