对日本“无缘社会”的考察

 2022-06-24 23:21:01

论文总字数:16089字

摘 要

传统的日本社会是以“血缘”、“地缘”和“社缘”为中心的有缘社会。然而,近年来,这些“缘”正在变得淡薄,日本逐渐发展成为一个“无缘社会”。究其原因,既有都市化、不婚化、高龄化等客观原因,也有家意识淡薄、耻文化等文化原因。对此,政府提出了“社会包容政策”。在地方,非营利性组织等也提供了很多援助。“网缘”和“共同居住”有可能成为今后为人们所利用的新的“缘”。

关键词:日本社会;无缘社会;社会孤立;孤独死

要旨

日本は旧来、血縁、地縁や社縁を中心とした「有縁社会」であった。しかし、これらの縁がだんだん薄れて、日本社会は「無縁社会」になりつつある。「無縁社会」の形成の背景に、都市化、未婚化、高齢化の進展のような客観的な原因があるが、家意識の希薄化や恥の文化という文化的な原因もある。これに対して、政府は「社会的包摂政策」を提出した。地域では、NPOなどによって、支援が提供されている。今後の新しい縁として、「電縁」や「コレクティブハウジング」は利用の可能性を示している。

キーワード:日本社会;無縁社会;社会的孤立;孤独死

目  次

はじめに

第一章 日本の無縁社会について 1

1.1 無縁社会の定義 1

1.2 無縁社会の現状 1

1.2.1 孤独死の増加 1

1.2.2 単身者と単身世帯の急増 2

1.2.3 無縁社会によって生まれた新しい産業 3

第二章 無縁社会形成の背景 4

2.1 社会的な背景 4

2.1.1 非正式雇用(社縁) 4

2.1.2 都市化(地縁) 4

2.1.3 核家族化、未婚化、高齢化(血縁) 5

2.2 文化的な背景 6

2.2.1 家族意識の希薄化 6

2.2.2 恥の文化 6

第三章 無縁社会に対する施策 7

3.1 政府の対策 7

3.2 地縁の構築 7

3.3 個人の努力 8

第四章 新しい時代の人間関係--縁 9

4.1無縁社会と有縁社会 9

4.2 新しい時代の縁 10

4.2.1. 現代社会の縁 10

4.2.2. 電縁 11

4.2.3. コレクティブハウジング 12

おわりに 14

参考文献 15

はじめに

 2010年、「無縁社会-無縁死3万2千人の衝撃」という番組はNHKによって放送され、大きな反響を呼んだ。これをきっかけに、「無縁社会」という言葉は世間に広く認知されるようになった。

 日本は旧来、家族や親族とのつながりである血縁、地域や近所とのつながりである地縁、会社の中でのつながりである社縁が形成されてきた。ところが近年、こうしたつながりが急速に失われ、社会から孤立している人が増えているという。

 現在、日本では、誰にも看取られずに死亡し、引き取り手がなく、自治体によって埋葬されるような「無縁死」をしている人が年間3万2千人もいる。また、今後の予測として、この数字がさらに増加していくと思われる。

 この衝撃的な数字に私は驚いた。これほど多くの人が「無縁死」をしたのはなぜだろうか。それに対する施策は何だろうか。現代の人々にとって、「縁」というのは一体何だろうか。

 現在、「無縁社会」の形成の原因についての研究は少なくない。しかし、「縁」の本質、また現代社会の新しい「縁」の可能性に関する研究はまだ十分とは言えない。

 そこで、本論文ではまず、日本の現状を踏まえて、「無縁社会」の実態を調査する。次に、「無縁社会」の形成の背景を解明し、それに対する施策を検討する。さらに、「縁」の本質を探り、新しい時代の「縁」の可能性を分析していきたい。高齢社会に入りつつあるわが国になんらかの啓示になれば望外の幸である。

  1.  日本の無縁社会について

1.1 無縁社会の定義

「縁」とは、人と人とのつながりである。日本は旧来、家族、地域社会、会社の中で濃密なつながりが形成されてきた。一般的に、血縁、地縁、社縁と呼ばれている。かつて、こうした「縁」を重んじて共同体意識の強かった日本は「有縁社会」であった。しかし、現在、このような「縁」がだんだん薄れて、孤立して生活していく人が増えている。「無縁状態」にある人々の増加につれて、孤独死の増加、単身者の急増などの問題も浮き彫りになってきた。このような社会の一側面を表したのは「無縁社会」である。

1.2 無縁社会の現状

1.2.1 孤独死の増加

 OECDの調査によると、OECD諸国の中で、日本は家族以外の人と全く、またはめったに付き合わない人の比率が最も高く、15.3%も達したという[1]。高齢化が進んでいるとともに、日本の高齢者、特に一人暮らしの高齢者の社会的孤立もますます深刻になっている。その結果として、孤独死の増加が注目されてきた。

 孤独死とは、誰にも見取られずに一人で死亡することである。特に一人暮らしの高齢者が自宅で亡くなり、死後しばらく経ってから発見されるような場合を指す。その原因として、脳梗塞のような突然死などさまざまあるが、その時、そばに誰かがいれば、あるいは、頼れる人がいれば、死は避けられるのではないか。「無縁状態」に陥る人は人とのつながりがなくなってしまう結果、いざという時に、助けてくれる人がいなくて、孤独死を余儀なくされてきた。孤独死の増加は「無縁社会」の深刻化を象徴すると言っても過言ではなかろう。

 統計によると、日本では年間死亡人数125万人のうち、3万人が孤独死で亡くなったという。図1は東京都監察医務院によるデータであり、東京23区内で自宅で死亡した一人暮らしの高齢者の人数を示しているものである。2002年は1364人だったが、2015年は3000人をも超えた。以上を以ってここ数年、孤独死の高齢者が急激に増加していることが明らかになる。

図1 平成27年度東京23区内における一人暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数

 図2は2012年に内閣府によって行われた「高齢者の健康に関する意識調査」である。孤独死を身近な問題と感じるか、というアンケート調査で、身近に感じると答えた一人暮らしの高齢者は45.4%にも達した。つまり、半数近くの一人暮らしの高齢者は将来に不安を抱えながら生きていることがわかる。

図2 孤独死を身近な問題だと感じるものの割合

      

1.2.2 単身者と単身世帯の急増

 高齢者だけではなく、若い世代に孤独死に不安を抱えている人も多い。その原因として、未婚者や単身世帯の急増が挙げられる。

 2017年に国立社会保障・人口問題研究所(厚生労働省管轄)が発表した2015年度集計のデータによると、日本の生涯未婚率は男性23.6%、女性14.1%となっているという。1980年の男性2.5%、女性4.5%と比べれば、日本人の生涯未婚率は男女を問わず大幅に上昇したことがわかる。

 生涯未婚率の上昇につれて、日本の単身世帯も急激に増加している。平成27年度の国勢調査によると、一般世代を占める単身世帯の割合は34.6%にも達したという。即ち、単身になる世帯が全世帯のおよそ3分の1を占め、かなり高い割合になったことがわかる。また、平成22年と比べると、日本の単身世帯数は9.7%も増加した。そのうち、65歳以上の単独世帯は23.7%も増加したという[2]。このように、単身世帯の増加は急速に進んでいることが分かるのではないだろうか。そして、この傾向は今後も続くと予測できる。日本人が意図的にせよ、非意図的にせよ、多くの人が一人で生活することを選択するようになる現象の兆しが顕著になり、その結果として、人間にとって大切な「血縁」がだんだん薄れていく恐れがあるのではないか。

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